海洋深層水(高知県室戸岬沖)とは?
海洋深層水は、深層水・<DOW・Deep seawater>など呼ばれ、地球の両極である北大西洋のグリーンランド沖と南極海で生まれ、何千年もの昔から世界中の海を約2,000年の歳月をかけて循環しています。遥か昔の深層水が今もなお高知県室戸岬沖の海底で循環を繰り返しているのです。室戸岬東部海域は独自の地形をしており、海岸から2㎞先の大陸棚外縁部から急激に深く落ち込んだ海底構造になっていることに加え、古くから好漁場を形成する湧昇海域として知られていました。つまり、海洋深層水の取水環境として最適な地理的条件が室戸岬にあるのです。よって、研究機関だけでなく取水・分水施設がありパイプライン方式による、外気に触れないクリーンな状態で大量の海洋深層水の供給が可能となっています。また、海洋深層水は有光層(真光層)以深に位置し、海の平均水深(3795m)を考えると、海水の95%近くが海洋深層水に分類されます。1997年1月には海洋深層水利用研究会が発足し、海洋深層水の研究と資源利用のための技術開発の推進、及び情報交換などが活発になりました。海の表面を流れる「表層水」と、深海を流れる「深層水」は大きく性質が異なります。海洋深層水の最も大きな特徴は、その清浄さにありますが、それは表層水とは違い、産業排水・生活排水や、河川から流れ込む汚染水などの影響を受けることがないため、表層水に比べてきわめて清浄な水といえます。海洋深層水の優れた特徴として⑴豊富なミネラル分、⑵清浄性、⑶富栄養性があります。その特性を活かした産業利用においては日本が最先端をいっています。海洋深層水の資源活用や、特に予防医学への応用について世界中から注目を集めているのです。今後、研究が進むにつれさらに「海洋深層水」の持つ特異性をはじめとした全容解明が期待されています。
海洋深層水は人間の体液に最も近い水
海の「水」にはあらゆる元素が溶けています。地球上に存在するほとんどすべての元素が溶けているといわれています。その中で最も多く溶けている元素はナトリウムと塩素です。人間の身体は体重の約70%が水でできています(成人男性)。そして、その水分の約30%が血液と組織液です。組織液とは、毛細血管からしみでて細胞と細胞の隙間を満たす体液です。身体をめぐる血液や組織液に溶けている主な元素も、ナトリウムと塩素です。さらに血液や組織液中には、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどが溶けています。これらの元素は、海水に最も多く溶けている成分です。血液や組織液、海水に多く溶けている元素を比較してみると、濃度こそ違うものの、溶けている元素の種類はとてもよく似ています。従って、海洋深層水のミネラルバランスは、人間の体液(血液や組織液)にとても近いといわれているのです。人間の体を構成している元素のうちミネラルは全体の3%にすぎません。しかし、このわずか3%の中に約40種ものミネラルが存在し、そのミネラルバランスこそが、健康の維持に大きな役割を果たしているのです。しかも、いくつかのミネラルは人工的に作ることはできないのです。それが海洋深層水が予防医学分野で注目されている最大の理由なのです。
身体は1日に多くの水を吸収し排出している
人間は成人で1日に約2.5リットルもの水を身体から排出しているといわれています。そのほとんどは「尿」と「汗」が占めています。そして、尿や汗として失われた水を補うように、飲み水や食べ物から水を吸収しています。人間が1日に排出する尿の量は、約1.5リットルといわれています。尿の中には、尿素や塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニア、硫酸、リン酸、尿酸などの物質が含まれています。血液と組織液は、酸素や栄養素を全身の細胞に運ぶのと同時に、全身の細胞から、細胞の活動によって生じた老廃物を集めてきます。この老廃物が腎臓でろ過されて尿の成分となるのです。また、腎臓は血液中の電解質や酸や塩基などの量を調整して一定に保つ働きをしています。この調整のために、ろ過された物質も、尿には含まれています。一方、人間が1日にかく汗の量は約0.5〜1.0リットルといわれています。汗の中には、塩化ナトリウム、カリウム、ピルビン酸、乳酸、糖、アンモニアなどの物質が含まれています。汗は汗腺でつくられ皮膚の表面へと分泌されます。汗のもつ最も重要な働きは体温の調節です。身体中の汗腺から汗を分泌して体温を下げています。特に運動や野外での活動で体温が上昇した場合には、普通の10倍もの汗をかいて体温を下げます。